2012年10月13日土曜日

カラーミキシングの考察 Part 1




 照明のためのカラーミキシングシステムは、ムービングライトに搭載されたCMYの減法混色の仕組みでクロスフェード可能且つ数多くの色を生み出すことが可能となり、照明家は色に関する自由を手に入れたように思えました。


しかし、カラーミキシングに関しては、さまざまな問題点が残されており、それは今のLED時代に入ってもまだ、完璧とは言えないものがあります。

私は、今年、劇場の照明家にとって、もしかするとこれまであったカラーミキシングシステムの解決を図るコンセプトになるかもしれないLumonicのilumoというFixtuteに出会いました。このかつてないコンセプトについて考えるにあたり、2004年、私が日本照明家協会雑誌の編集委員をしていた頃、同誌にLighting & Sound 誌にあった記事を日本語に編集してご紹介した内容を元に、過去のカラーミキシングについて振り返りながら、光で生み出す色について考えてみたいと思います。

 Lighting & Sound  2004年ごろの記事


 求める色を自由に表現するというのはアーティストにとって必要不可欠であるように、これは照明デザイナーにとっても非常に重要な要素であるといえます。芸術家は自身の求める色を作り出すために絵の具を混ぜることができますが、これは照明デザイナーにとっては非常に難しいことになります。多くの照明家が望むのは、ステージセットやそのムードに合わせ、客席やコントロールコンソールの前にいながらにして自由に設定できることでしょう。この照明家の夢をかなえるべく、リモートコントロールのカラーチェンジャーが登場したのは1970年代の終わりごろで、実用化されたのはワイブロンのカラーマックスが最初ではなかったでしょうか?


 











その後、さまざまなカラースクローラーが登場することになるわけですが、ここには1つ問題がありました。それはカラーの数にリミットがあったということです。カラースクローラーはカラーフィルターをスクロール状にしたロールを動かして色を変えるわけですがそこには搭載できるフィルターの枚数(長さ)に制限があり、すべての色を自由にとはいきませんでした。

そして、オートメイションライティングの到来です。このカラーミキシングシステムを持つまで、われわれは20年の歳月の中さまざまな発明、そして特許とともに何百万ドルもの費用をかけてきたのです。果たして今、われわれはその夢の実現に到達したのでしょうか?20年余りの歳月をかけ、どんな色であっても色から色へのスムーズなフェード効果を得ることができるのでしょうか?







あるひとつの側面であるカラーミキシングを搭載したフィクスチャーの今日の数から言えばそれはイエスと言えるかもしれないし、一方、なぜ同じシステムを持つフィクスチャー間で、なぜ色が同じでないのか?また、同じDMXレベルであるにも関わらず例えば ”なぜ同じラベンダーが作り出せないのか”といった問題もあります。
 


今日、オートメイテッドフィクスチャーのカタログを見ればそこには1670万色のカラーミキシングが可能だとあります。これは驚異的な数であり、この色数であればLEEROSCOそのほかほぼすべての色見本にあるようなカラーフィルターの色はすべて再現できると考えてもよさそうです。しかしカラーミキシングの機構は複雑且つ多種多様であり、より多くの視点からこの問題を見ていくことでこの答えを出したいと思います。


つづく

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