2012年10月16日火曜日

カラーミキシングの考察  Part3

 LEDが照明業界で実用化されるまで、全盛をきわめたCMYカラーミキシングにおける問題点は、光源にHIDランプを多用するため、HIDランプの特性である不連続且つ青色成分のほうに比重の高いスペクトルに加え、ムービングフィクスチャーの機構がきらう熱を極力、前面へ放出しないコールドミラーの影響により、赤が出にくいという点にあります。

また、CMY個々の ダイクロイックフィルターの色味の違いや、その機構の違いにより、色の混合にむらが出てしまうものがあったり、Fixture間で色のばらつきがでてしまう事なども問題となりました。さて、LED全盛の今、こうしたCMYのカラーミキシングに対し、RGBミキシングは、問題解決となったのでしょうか?


より濃い色を作れない

LEDは、RGBの3色を使って色を作り出します。これはCMYの減法混色と異なり、RGBをすべてミックスすると、理論的にはもっとも明るい白になります。最初に言われたLEDの問題点は、CMYと異なり使用されるRGB個々の色以上に濃い色を作る事が不可能な事です。しかしこれは、搭載するRGBの選択で解決する事から大きな問題とはなりません。



RGBでミックスしても白にはならない

もう1つの問題は、 RGBをミックスする事で作り出されるはずの白は実際には、美しい白にはならず、ややピンクだったり、青白い色だったり、そう簡単に白やハロゲンのランプカラーをRGBミックスで作る事ができませんでした。そうした現実に対応するため、メーカー各社はRGBに加えアンバーやホワイトのLEDを加えた4色、5色で、より正しい白を生み出す努力を重ねました。

フェードカーブの問題

今ではこの4色、又は5色の混合により、白に関してはかなり問題が改善されたものの、次に問題となったのは、なめらかなスムースフェードができず、その色の変化は、DMX制御特有のステップ変化に見えてしまう事、そして点灯する瞬間、カットインのように見える変化についても、大きな問題となりました。しかしこの問題に対しても、メーカーは各色を16ビットにすることで対応したり、フェードカーブを搭載したりすることで、概ね解決されてきたのです。

現在、舞台で使用されるLED Fixtureはなめらかなフェードが可能な4色、5色に加え、マスターインテンシティーとズーム、ストロボなどのパラメーターで構成されるものがスタンダードとなり、すでに多くの人の意識は、基本機能以外の部分に向けられ、ムービングするウォッシュライトか固定タイプかの違い以外に、メーカーもユーザーもより目新しい何かを求めて加熱しているのが現状のLEDマーケットではないでしょうか?

しかし、已然としてLEDには、色のばらつきの問題以外に、色と色のフェードチェンジを行った際に、意図しない色が出現するなど基本的な部分に大きな問題点が残されています。この誰もが諦めていた部分にメスを入れるとともに、出力されるカラーの正確さについて真剣に取り組んだのがLumonic(ルーモニック)という企業です。


つづく






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